地球は10数枚のプレートと呼ばれる厚さ30〜50kmほど(最大100km程度)の動く岩盤(移動速度の早いもので10cm/年程度)で覆われています。このプレートが地球の内部から生まれて出てくる場所と、移動していってまた地球の内部に沈み込んでいく場所で地震が発生します。このプレート同士の境界で発生する地震をプレート境界型地震といいます。プレート同士が衝突し、一方が他方の下に沈み込む地域には海溝が形成されます。その海溝に沿った海域で地震が起こる場合を海溝型地震といいます。
わが国は、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートの4枚のプレートが衝突し、複雑に重なり合うところに位置しているために、地震が頻発する地域なのです。実に、世界全体のわずか0.2%の面積の日本で、世界全体の10%を超えるエネルギーの地震が発生しています。特に1995年以降に関して言うと、世界中で発生した地震の中で、地震の規模を示すマグニチュード(M)6以上の地震の実に20%以上が日本とその周辺で起こっています。
■日本周辺のプレートとプレート境界、その周辺の震央分布
出典/「新しい地球観(上田誠也・岩波書店)より抜粋
加筆/文部科学省「地震の発生メカニズムを探る」
クリックすると周辺で起きている地震の震央(震源の真上の地表点)が現れます。
現在我が国は、地震活動度の高い時期を迎えています。今後30年から50年の間に、マグニチュード(M)8クラスが4〜5回起こると思われます。これらの前後に起こるマグニチュード(M)7クラスの地震の数はその10倍です。これら一連の地震の被害総額は300兆を優に超えると予想されます。仮に30年で割ると1年当たりの損害額は10兆円となり、これは、阪神・淡路大震災の直接被害額に相当します。日本は阪神・淡路大震災クラスの被害を毎年受けるほどの状況に置かれているのです。
まず驚くべき事実をご紹介しましょう。
この図は、1978年に地震予知連絡会が今後地震の観測を強化すべきと指定した10の地域を示しています。
■1978年の観測強化地域および特定観測地域
出典/地震予知連絡会ウェブサイト
下の図をクリックしてみてください。
予測された地域に実際に起きた地震が重なって表示されます。 20数年を経て確認すると、いちばん心配していた「東海」と「南関東」を除いて、8箇所で実際に地震が発生していることがわかります。その確率は実に80%です。
「数日後とか明日に地震が起きる」というような直前地震予知はまだ難しいかもしれませんが、長期予測の精度は十分高いことがおわかりいただけると思います。
■1978年の観測強化地域および特定観測地域と最近起こった主な地震
出典/地震予知連絡会ウェブサイト 東京直下大地震生き残り地図
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下の図は、現在危険性が指摘されている主な地震の分布です。東海地震(M8.0)は30年間で86%、東南海地震(M8.1)は50%・南海地震(M8.4)は60%と予想されています。この数字にピンとこない方もいるかもしれませんが、2003年に発生した「十勝沖地震(M8.0)」は、30年以内に60%の確率と予想されていたもの。それから考えると、東南海・南海地震はもろちん、東海地震の86%というのは非常に高い確率と考えるべきです。明日起っても不思議ではないのです。今後30年で70%の発生確率が中央防災会議から発表されている、首都圏直下の地震の危険性も同様です。
■近い将来に起こる可能性の高い主な地震<発生確率は今後30年以内に地震が起こる確率など>
出典/文部科学省 「地震の将来予測への取組」(2005年8月発行) 東京直下大地震生き残り地図より抜粋
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太平洋の静岡沖から四国沖にかけては、南海トラフと呼ばれるプレート境界があります。
プレートが潜り込むところは地震の多発地帯です。
この南海トラフ沿いには、東海地震、東南海地震、南海地震の3つの震源域が並び、繰り返し地震が起きています。いわゆる地震の巣です。
南海トラフでは、フィリピン海のプレートが年間4〜5センチ沈み込んでいます。その耐えられる限界が5〜7メートル程度なので、100〜150年間隔で非常に安定した周期で地震が起っています。一連の地震がおさまると50年から75年間は静かになります。
過去の歴史記録を見ると、東海地震は100年から150年間に1度、繰り返し発生しています。最後の地震が安政元年(1854年)に起きてから、既に150年間以上の空白期が過ぎ、いつ東海地震が起きてもおかしくない状況となっています。
■太平洋岸で起こった過去の大地震と地震の空白域
出典/内閣府中央防災会議資料に東京大学生産技術研究所 目黒研究室が加筆
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東海地震、東南海地震、南海地震の3つの震源域が並び、繰り返し地震が発生する南海トラフ。ここでは、フィリピン海のプレートが年間4〜5センチの割合で沈み込んでいますが、変形量の限界が5〜7メートル程度なので、100〜150年間隔の安定した周期で地震が起ります。歴史をさかのぼって見ると、この3つの地震は相互に影響を及ぼし合って起きる可能性が高いと考えられており、このために地震3兄弟とも呼ばれています。
この地震3兄弟は、津波も起こします。地域によっては地震直後の10分以内に10メートルを超える津波が襲ってきます。この高さは平均的な高さであり、局所的に津波が遡上する高さはその2倍程度となるところもあります。これは海岸の植栽状況や形、谷や河口などの地形によって大きく変わります。1993年の北海道南西沖地震の際には、奥尻島では最大30mを優に超える高さまで津波が遡上しています。その高さは8階建てのビルの高さに相当します。
ところで東海・東南海・南海の地震が連動して一度に起った場合、日本の人口の約1/3に当たる4000万人が震度5以上の揺れに襲われ、建物の全壊・全焼が約100万棟、犠牲者が約3万人になると中央防災会議は想定しています。しかし私自身は、3万人の死者の推定結果は過小評価だと思っています。特に、大規模交通機関の事故等での死傷者の見積もりが不十分と考えているためです。被害総額は、直接被害と間接被害を合わせて最大81兆円と予想しています。
■南海トラフと東海・東南海・南海地震の震源域
出典/東京大学生産技術研究所 目黒研究室
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駿河湾の海底では、伊豆諸島を乗せた「フィリピン海プレート」が、その西北の位置にあって西日本を乗せているプレート(ユーラシアプレート)の下に、年間4〜5センチずつ潜り込んでいます。このようにプレート同士が衝突し、一方が他方の下に沈み込む地域には海溝が形成され、これに沿った海域で起こる地震を海溝型地震といいます。フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界は駿河湾の南から紀伊半島や四国の南まで続きますが、この中の駿河湾の南の境界部分を「駿河(湾)トラフ」と呼びます。
陸側のユーラシアプレートとそこに沈み込むフィリピン海プレートの間にストレスが溜まり、エネルギーが一気に放出されるとき、「駿河(湾)トラフ」を震源域として発生するマグニチュードM8クラスの海溝型の地震、これが「東海地震」です。
内陸の直下地震でも1891年の濃尾地震のようにM8クラスの地震もありますが、一般的にはM7クラスの地震が多いので、海溝型地震の方が内陸の直下型に比べて地震の規模を示すマグニチュード(M)が大きくなる(おおよそ7〜9)場合が多い特徴を有しています。1923年に発生した関東地震(M7.9、関東大震災を引き起こした地震)や東海地震と同様に近い将来の発生が危惧されている東南海、南海地震も海溝型のM8クラスの地震の例です。
東海地震を例に挙げると、地震前の安定期、地震直前、地震時では、私たちが住んでいる地面の下では以下のような動きが発生します。
■地表面の動き(安定期・地震直前期・地震時)
出典/文部科学省「地震の発生メカニズムを探る」
加筆/東京大学生産技術研究所 目黒研究室
陸側のプレートの下に海側のプレートが潜り込むとき、その影響で陸側のプレートも引きずられて変形します。この変形量が大きくなり限界に達すると、プレートの内部や境界で急激な破壊や滑りが生じます。
下の図は、GPSが捕らえた関東周辺の各地域の移動量です。東海地震の震源域のGPSステーションの観測図を見ると、「地震直前期」の兆候がはっきりと現れています。
陸側のプレート(ユーラシアプレート)の上に位置する静岡や南伊豆は、その下に潜り込む海側のプレート(フィリピン海プレート)北西方向への動きによって、通常は平面的には北西へ、上下方向としては潜り込む方向に動いています。しかしひずみが蓄積されて限界に近くなると、プレート境界での滑りが始まり、陸側のプレートは通常と反対の動きを始めます。すなわち、西側に沈み込むべきプレートが東へ、北側に沈み込むべきプレートが南へ、下へ沈み込むべきプレートが上に移動し始めるのです。
すでに西側に沈み込むべきプレートが東へ、北側に沈み込むべきプレートが南へ、下へ沈み込むべきプレートが上にずれています。これはまさに、 「平面的には南東へ、標高としては高い方へ」移動を開始している「地震直前期」の状態です。
これは地震学者が描く東海地震発生のシナリオに従った動きです。
■東海地震震源域のGPSステーションの動き
出典/「国土地理院でのGPSによる地殻変動観測」をもとに東京大学生産技術研究所 目黒研究室が加筆
■中部日本のGPS観測点の動き
出典/「国土地理院でのGPSによる地殻変動観測」をもとに東京大学生産技術研究所 目黒研究室が加筆
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●プレートの沈み込む地帯に囲まれている日本は、世界有数の地震大国である。
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●今後30〜50年の間に、マグニチュード(M)8クラスの地震が4〜5回発生。
これらの前後に起こるマグニチュード(M)7クラスの地震は、その10倍発生する。
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●1978年に観測を強化した地域
→28年を経て、南関東地震・東海地震以外の8割は実際に起っている。
→2003年に発生した十勝沖地震の30年発生確率は、当時60%であった。
東南海や南海地震の30年発生確率(50%や60%)、さらに東海地震30年発生確率87%という確率は、いつ起こってもおかしくない数字です。
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●東海・東南海・南海の地震3兄弟は連動して発生する可能性も高い。
→日本は国全体で大きなダメージを受ける。
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●その他にも日本各地で多数の地震が予知されている。
→日本中どこで地震が起きるかわからない。