#01

PROJECT STORY

STORY_01

“あたりまえ”を超えた、
次世代の街づくりへの挑戦

BLP−MINAMIKURIHASHI SMART VILLA

  • 尾崎 彰彦

    街づくり事業部
    東日本開発室 販売企画G
    グループ長

  • 田中 透

    街づくり事業部
    部長

  • 小笠原 規高

    街づくり事業部
    東日本開発室 事業推進G
    主幹

第一章名前だけは知っている、
未知の終着駅「南栗橋駅」

「南栗橋という街はポテンシャルがありながらも、東京の中では誰もが深く知っている街とは呼べませんでした」プロジェクトリーダーの田中は、当初の印象をそう振り返った。トヨタホームが開発した街並みである「BLP−MINAMIKURIHASHI SMART VILLA」(以降MINAMIKURIHASHI)は、埼玉県久喜市にある東武鉄道日光線「南栗橋駅」から数分歩いたところに、その存在感を放っている。 ひとつの街のあり方を変えたこのプロジェクトだが、その背景にはいくつものドラマがあった。
プロジェクトの舞台となった「南栗橋駅」は、東京メトロ「半蔵門線 渋谷行き」をはじめ、東京の都心エリアに直通する電車も走る始発駅。そのため、東京では「南栗橋行き」の電車に馴染みがある者も少なくない。一方で地名は知っているが、具体的に「どんな場所なのか」を知っている人は少なく、“始発駅”というポテンシャルに世の中が気づいていない街だった。

第二章新たな生活がはじまる、
はじまりの街へ

プロジェクトは、東武鉄道が所有していた「南栗橋駅」の土地をトヨタホームに再開発の打診をしたところからはじまった。トヨタホームの街づくりの実績に期待を寄せたものであったが、プロジェクトメンバーは難しい案件と直感していた。
「南栗橋駅」は前提として土地の認知が低く、さらに生活の利便性につながる施設も近隣になかったため、実際にこの街を選ぶ理由を見出しづらい環境だったのだ。そこで①商業施設を誘致し生活のための環境を整備すること②電線類を地中化したデザイン性にも富んだ景観とすること③行政と連携した抜本的な街づくりの刷新を図ること、この3点を実現することで魅力の創出をめざした。
ターゲットは、東京に住む働き世代のファミリー。リモートワークが広まり、働き方も暮らし方も多様化する現代。“都心と自然の中間領域にあるはじまりの駅「南栗橋」で、新たなスタイルの生活をはじめる”そんな暮らしの提案を掲げ、プロジェクトは大きく動きだした。

第三章プロジェクトの壁として
立ちはだかる、
“あたりまえ”を超えていく

「正直に言うと社内では途中、実現は難しいのではないか。という声もあがっていました」そう田中が語るように、プロジェクト実現までには困難もあった。実現には、久喜市との連携が不可欠だったのだ。
久喜市の行政との窓口に立ち、全体進行を指揮した尾崎は、当時の課題を語った。
「MINAMIKURIHASHIは、デザインのこだわりを行政に理解して貰い、通常とは違った形状で許可を取得したり、街の景観維持のため久喜市に特段の協力を得なくてはいけない部分があったんです。しかし、行政には平等性と定められたルールの遵守が基本的な考え方にあるため、一般論(“あたりまえ”)を越えた合意をいただく必要がありました」
「一般論を越えた部分ですと、例えば、道路の設計は“まっすぐ”引くことが一般的なのですが 、MINAMIKURIHASHIの場合は、街並みに沿って“扇形”になっているんです」土地の詳細な設計と行政の許可取りを担当した小笠原が、こだわりの一例を語った。
街並みを “扇形”にすると立ち並ぶ家が直線に並ばないことでプライベートな空間づくりをすることができる。しかし、その一方で、道路の整備や地下の水道管などの設計が複雑になる。そのため、道路は“まっすぐ”引くことが基本となっている。このような、街づくりを進めるうえでの一般論(“あたりまえ”)を超える必要があった。

第四章“モノづくり” へのこだわりを、
街づくりの突破口に

「私たちの強みは、“モノづくり”にこだわっていることだと思います」田中は、トヨタホームの魅力にそのような特徴を語った。一般的に住宅業界では、売上や利益を最大化するために、街づくりにおいても、開発からリリースまでのスピード感を重視する。一方で、トヨタ自動車のモノづくりの精神を持つトヨタホームでは、一つひとつ の商品の企画・設計に丁寧に向き合い、品質の高い商品づくりを重視している。
ビジネス的には、一見非効率に見えるかもしれないが、どこまでも住む人のことを想うトヨタホームの意志である。そんな丁寧な街づくりが認められた結果、最終的には行政だけでなく産官学5者が連携してプロジェクトを進めていくこととなった。”東武鉄道”は沿線地域の開発ノウハウを生かして南栗橋エリア全体における街づくりを牽引。さらには「南栗橋」駅の特急停車駅化も実施した。
“イオンリテール”はMINAMIKURIHASHI戸建て街の隣に「イオンスタイル南栗橋」を開業。地産地消の食材を取り扱ったりドッグランを用意する等地域の交流に貢献し、住民の利便の中心として機能していく。“早稲田大学(小野田研究室)”はMINAMIKURIHASHIを舞台に最新テクノロジー取り入れた自動配送ロボや次世代モビリティの実証実験を行い、未来の暮らしをサポートする。そして”久喜市”。扇形の道路配置だけでなく、桜がきれいに見える川沿いの車道を、安全に桜が見えるように遊歩道化を実施。他にも用途地域の変更や、公園のリニューアル等も実施し、快適で過ごしやすく新しい”あたりまえ”が生まれる環境づくりを積極的に進めている。
住宅業界の“あたりまえ”も越え、産官学5者と深く連携した街づくり事例のひとつとなったMINAMIKURIHASHIは、そんな目の前の課題に真剣に向き合うトヨタホームだからこそ実現できたプロジェクトともいえるかもしれない。そこは都心から少し離れたところにある、日常と非日常の中間にあるような安らぎの街。MINAMIKURIHASHIは2022年5月のオープン以来、移住してきた人々で活気づいている。もともとトヨタ自動車のDNAを受け継ぎモノづくりにこだわる、トヨタホームだからこそできる街づくりは、今日もまたどこかの街に新たな魅力を添えている。
(所属部署や原稿は取材当時の内容となります)

Members side story〜社員の成長編〜

街づくりは、新しい挑戦の連続です

尾崎 彰彦

私は入社してからしばらくは自社の商品・技術開発に特化した業務を担当していましたが、街づくり事業部に異動してからは、一棟の住宅のことに限らずもっと大きな視点で街を企画したり、住宅販売の分野にも関わったりと業務の幅が広がっています。
MINAMIKURIHASHIでは、行政をはじめプロジェクトに参画される方々との事業進行管理も経験させていただきました。このプロジェクトは、産官学が連携していて関係者が多かったこともあり、プロジェクトマネジメントのスキルが身についたと実感しています。街づくりの仕事は案件ごとに課題が異なるので、キャリアをいくら重ねても新しい挑戦ができる環境があると感じています。これからも、身につけたノウハウを活かして、MINAMIKURIHASHIを超えた、あたらしい“あたりまえ”が生まれる街をつくっていきたいですね。

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