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2025.12.18

店舗併用住宅の間取りはどう決める?成功のコツ・注意点を実例つきで解説

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自宅と店舗を一つの建物にまとめる「店舗併用住宅」は、家賃の節約や通勤時間の削減といった大きなメリットがある一方で、設計上の工夫や法的なルール、生活とのバランスが求められる住まいです。たとえば、動線の工夫、業種ごとの設備要件、住居との遮音・におい対策など、一般的な住宅にはない注意点も多くあります。

この記事では、美容室・カフェ・スタジオなどの実例を交えながら、成功する店舗併用住宅の間取りの考え方、注意すべきポイント、そして建築前に押さえておくべきリスクまで、わかりやすく解説します。

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店舗併用住宅とは?

店舗併用住宅とは、住居部分と店舗スペースを一つの建物にまとめた住まいのことです。「住まい=職場」となるため、毎月の家賃や通勤にかかる時間・コストを抑えつつ、柔軟なライフスタイルを実現できます。

ただし、店舗の規模によっては建築基準法や税制の扱いが変わるため、綿密な計画が必要です。さらに、暮らしの満足度を高めるには、集客性とプライベート空間の確保を両立できる設計が重要になります。

店舗併用住宅はどんな種類・業態に向いている?

店舗併用住宅は、美容室やネイルサロンなどの小規模サービス業、カフェ・パン屋といった飲食業、士業・コンサル・整体といったオフィス型業種に向いています。また、クリニックや動物病院といった医療系、物販・雑貨店といった小売業もぴったりです。

業態によって必要な衛生基準や防音・換気などの設備条件が異なるため、用途に合わせた設計が欠かせません。また、客用動線と家族の生活動線をどう分けるかも、業種によって大きく変わります。

店舗併用住宅を建てる際のルール

店舗併用住宅を建てるには、計画地の「用途地域」の確認が必須です。たとえば、第一種低層住居専用地域では店舗併用住宅の面積に制限があったり、建築自体が制限されたりする業種もあるため、事前の調査が欠かせません。

特に、店舗部分の床面積が50㎡を超えると、建築基準法上の規制が強化され、防火基準や避難経路の確保などが必要となるケースもあります。建築前に自治体や設計担当者と十分に相談しながら進めましょう。

参考:e-Gov 法令検索「建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)

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【建築実例でイメージ】業種別・階数別の店舗併用住宅の間取りプランを紹介

ここでは、美容室・飲食店・スタジオなど代表的な業種の実例を取り上げ、どのように店舗と住まいを両立させているのかを具体的に紹介します。

業種や建物の構成によって、間取りや設備の考え方がどのように異なるのかを見ていきましょう。

美容室・サロンの店舗併用住宅(2階建て)

美容室を併設する住まいでは、来客と家族の接触を防ぎ、プライバシーの確保や生活の快適性向上につなげるため、店舗と住居の動線を明確に分けることが重要です。多くの場合、来客動線の確保と視認性を考慮し、1階に店舗、2階に住居を配置するプランが一般的となっています。

セット面やシャンプー台など、美容室には必要な設備が多く求められるため、店舗スペースは開放感を重視した内装設計が好相性です。また、住居部分には遮音性を持たせることで、営業中の騒音に配慮した快適な生活空間を保てます。

美容室・サロンの店舗併用住宅(2階建て)の建築実例を見る

カフェ・飲食店の店舗併用住宅(2階建て)

飲食店併用住宅では、厨房からの熱やにおいに対する配慮が最も重要な設計ポイントです。一般的には、通行人からの視認性を意識して1階に店舗、2階に住居を配置する構成が主流です。ただし、道路から見たときに “店舗らしさ”と“住まいらしさ”の調和が鍵になるので、外観デザインは慎重に検討しましょう。

また、厨房と客席の動線を効率的に整えるようにすると、省スペースでも心地よく過ごせる空間づくりができます。住居部分では、においや騒音の影響を抑える構造や換気計画を検討し、家族が落ち着いて暮らせるような工夫が必要です。

カフェ・飲食店の店舗併用住宅(2階建て)の建築実例を見る

カフェ・飲食店の店舗併用住宅(平屋)

平屋の店舗併用住宅は、生活動線がフラットにつながるため、家事・育児と仕事の両立がしやすい構造が魅力です。特に子育て世帯や高齢者にとって、階段のないバリアフリーな設計は安心して長く暮らせる住まいとして評価されています。

店舗スペースと居住空間のゾーニングには、視線や音の干渉を最小限に抑えつつ、落ち着いた生活空間を確保するために、中庭や仕切り壁の設置が効果的です。また、トイレや洗面所を店舗と共用にすることで、無駄なスペースを減らし、建築コストの削減にもつながります。

カフェ・飲食店の店舗併用住宅(平屋)の建築実例を見る

バレエスタジオの店舗併用住宅(2階建て)

バレエスタジオ併用住宅では、広く高い天井のスタジオ空間が求められるため、1階を店舗、2階を住居とする構成が適しています。スタジオの音漏れ対策も重要で、特に近隣への配慮や家族の生活音との干渉を避ける工夫が不可欠です。

音が大きく響くバレエの練習には、壁や床に高性能な防音・遮音素材を使用することが欠かせません。加えて、スタジオと居住空間の間に収納スペースや廊下を挟む間取りにすると音の伝達を抑えられ、レッスン時間と家族の生活が交差しても快適に過ごせます。

バレエスタジオの店舗併用住宅(2階建て)の建築実例を見る

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店舗併用住宅の間取りを成功させる6つのポイント

店舗併用住宅では、住まいと店舗のバランスを考えた間取り計画が欠かせません。

ここでは、店舗と住居をちょうどよく共存させるための代表的な6つの設計ポイントをわかりやすく解説します。

店舗は1階に配置し、集客と使い勝手を最適化する

店舗併用住宅を成功させるには、店舗部分を1階に配置する間取りが基本です。1階だと、道路からの視認性が高まって集客効果が期待できるほか、荷物の搬入やゴミ出しなど日々の業務動線も効率化できます。

さらに、高齢者や子ども連れのお客様もアクセスしやすくなり、バリアフリー設計を導入しやすい点もメリットです。住居は2階以上に設けて遮音性能の高い建材を活用すると、プライバシーが守られやすく、生活音が店舗に伝わりにくくなります。

店舗と住宅の動線は完全に分ける

店舗併用住宅では、来客と家族の動線が交差すると、生活のストレスやトラブルの原因になりかねません。たとえば、共用の玄関を設けてしまうと、プライバシーが確保できないうえ、音やにおいが住居部分に入ってくるかもしれません。

生活に支障が出る可能性を踏まえて、“店舗用”と“住居用”で分ける設計がおすすめです。従業員専用の裏動線を設けると、よりスムーズに店舗運営がしやすくなるでしょう。

従業員スペース・バックヤードを適切に確保する

店舗併用住宅を計画する際は、従業員の働きやすさや業務効率を重視する工夫も重要です。特に飲食店や物販店では、バックヤードや休憩スペース、更衣室といった店舗専用エリアの配置が、営業効率や清潔感を左右します。

また、ゴミ置き場や裏口を建物の裏側に配置すると、住居部分への影響を軽減しやすいでしょう。住居スペースに物が溢れるのを防ぎ、生活と仕事のメリハリをつけられる点でも、専用エリアの確保は重要です。

駐車場・駐輪場は業種と地域のニーズに合わせて計画する

車社会の地域では、敷地全体の設計において、駐車場や駐輪スペースの確保が集客力や顧客満足度に大きく影響します。店舗利用者が安心して駐車できるように、来客用と従業員用の駐車場を分けて配置し、混雑やトラブルが起こりにくい環境にしましょう。

また、配送業者の停車位置をあらかじめ考慮しておくと、受け取りや搬入がスムーズになり業務効率も向上します。都市部では駐輪スペースのニーズが高いため、通勤や通学に自転車を使う家族にも配慮した配置計画が必要です。

外観・内装は“業種らしさ”と“住まいの落ち着き”を両立する

店舗併用住宅では、外観や内装のデザインが店舗のイメージ形成と住まいの快適性に大きな影響を与えます。店舗部分は業種に合ったデザインにすることで、顧客からの信頼感を高める効果があります。

一方、住居部分は生活の落ち着きを保つため、店舗とは異なるトーンで設計するのが理想的です。また、看板やロゴの配置も、通行人からの視認性と家族のプライバシーのバランスを考慮する必要があります。

住宅部分から逆算して間取りプランを決める

店舗設計に注力しすぎると、住宅としての快適性が犠牲になりやすいため、間取りは住宅部分から逆算して決めるのが基本です。たとえば、家族構成や生活スタイル、収納ニーズなどを明確にしたうえで、必要な広さや動線を整理しておくと、バランスの取れたプランになります。

また、長く安心して暮らせるようにするためにも、子育て期や老後の生活など将来的なライフステージの変化も考慮に入れましょう。店舗が閉業する未来も想定し、将来的に“住まいとして成立する間取り”にしておけば、資産価値を保ちやすくなります。

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店舗併用住宅を建てる前に知っておくべきリスクと注意点

店舗併用住宅には多くのメリットがある一方で、設計・建築の段階で見落としがちなリスクや注意点も存在します。

店舗併用住宅を建てる前に特に注意すべき「5つの視点」を確認しておきましょう。

床面積の割合に注意する

店舗と住宅の床面積の割合は、各種制度の適用に大きく影響します。たとえば、店舗部分が過半数を占めると住宅ローンの利用が難しくなるケースがあるため、注意が必要です。

また、固定資産税や火災保険の扱いが住宅用ではなく商業用として分類されることもあり、費用が大幅に変動する場合があります。設計の初期段階で「どこまでを店舗にするか」を明確に決めておくことが、制度上の不利を避けるためにも不可欠です。

店舗面積50㎡超で法的な扱いが変わる

店舗の床面積が50㎡を超えると、建築基準法の規制が変わる場合があります。具体的には、防火区画や避難経路の確保といった追加要件が求められるようになり、設計やコストに影響を及ぼしかねません。

また、飲食業など一部の業種では、保健所や消防署への届け出や審査が必要になる場合もあります。計画段階で面積と業種の関係を整理し、自治体や建築士と早めに相談することが大切です。

音・におい・プライバシーのトラブルを防ぐ

店舗併用住宅では、音やにおいが原因で家族や近隣住民とのトラブルにつながるケースも少なくありません。

たとえば、飲食店では調理中のにおいや煙、サロンではドライヤーや会話の音、スタジオでは大音量の音楽や足音などが発生しやすく、業種に応じた排気や遮音への配慮が欠かせません。

トラブルを防ぐためには、遮音性能の高い建材の使用や換気計画の工夫が必要です。また、来客動線と家族動線を分けると、接触を最小限に抑えられプライバシーを守りやすくなります。

将来の売却で値下がりしやすい

店舗併用住宅は、用途が限定されているため、将来売却する際に買い手が限られる可能性があります。特に、店舗部分が広く専用性が高い場合は住宅への転用が難しく、資産価値が低下するリスクにも考慮が必要です。

そのため、店舗閉業後にも住まいとして使いやすい間取りや構造を意識して計画しましょう。リフォームのしやすさを含めて間取りを検討すると、資産価値を維持しやすくなります。

実績ある住宅メーカーを選ぶ

店舗併用住宅は、一般的な住宅よりも設計や法的対応が複雑であるため、経験豊富な住宅メーカーへの依頼を検討しましょう。業種ごとの法規制や設備基準に精通しているかどうかが、建築後のトラブル防止に直結します。

たとえば、防音や換気、構造耐久性など、店舗併用住宅に必要なノウハウが蓄積されている会社を選ぶことで、安心して計画を進められます。相談時には「店舗併用住宅の建築実績」を必ず確認するのがポイントです。

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暮らしと仕事を両立できる店舗併用住宅をトヨタホームで実現しよう

店舗併用住宅は、生活のしやすさと事業の続けやすさを両立できる住まいです。一方で、用途地域の確認や法規制への対応、住宅ローンの条件など、事前に検討すべき点も数多くあります。

トヨタホームでは、構造の耐久性や防音性能に優れた住まいづくりに加え、店舗併用住宅の実績も豊富です。家族の暮らしと事業の継続を安心して両立できるよう、専門スタッフが設計から施工までしっかりとサポートいたします。

【全国のトヨタホーム展示場を探す】
https://www.toyotahome.co.jp/s/tenjijo/?ad_cd=hometag
【カタログ請求はこちら】
https://www.toyotahome.co.jp/s/catalog/?ad_cd=hometag

トヨタホームの賃貸・店舗併用住宅の住まいの実例はこちら

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店舗併用住宅の間取りに関するよくある質問

Q. 店舗併用住宅の間取りで最も大切なポイントは?

「生活動線と来客動線を完全に分けること」です。玄関・階段・水まわり・音や視線の配慮を分離することで、営業中でも生活のストレスを抑えられます。

Q. 店舗は1階、住居は2階が一般的ですか?

はい、多くの場合は1階を店舗、2階以上を住居とする間取りが一般的です。視認性や集客性を確保しつつ、住居のプライバシーを守りやすい構成です。

Q. 店舗と住居で玄関は分けるべきですか?

基本的には分けることをおすすめします。来客と家族の動線が交差しないことで、生活感を出さず、店舗の印象も良くなります。

Q. 音やにおいの対策は間取りでできますか?

可能です。上下階の配置、壁・床の仕様、換気計画、厨房や施術室の位置調整など、設計段階で対策することでトラブルを防ぎやすくなります。

Q. 店舗部分の広さはどのくらい必要ですか?

業種によって異なります。美容室やサロンなら10〜15坪前後、カフェや物販なら15〜25坪以上が目安です。無理に広げず、家賃や固定費を抑える間取りも有効です。

Q. 自宅感を出さずに店舗らしさを演出できますか?

可能です。外観デザインや看板位置、入口の作り方、窓配置を工夫することで「住まい+店舗」ではなく「きちんとしたお店」として認識されやすくなります。

Q. 住居部分のプライバシーは確保できますか?

はい。店舗から直接見えない位置にLDKやバルコニーを配置したり、生活音が店舗側に伝わりにくい構成にすることで、安心して暮らせます。

Q. 店舗併用住宅はどんな人に向いていますか?

自営業・個人事業主、開業予定の方、将来的に自宅で仕事をしたい方に向いています。通勤時間を減らし、家族との時間を大切にしたい方にも選ばれています。

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