近年、注目を集めているのが「ZEH(ゼッチ)住宅」です。国際的な脱炭素社会の実現に向けて、日本政府も2050年を目途にCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにするための取り組みを行っています。住宅分野においても環境に配慮した住宅が推奨され、条件を満たした住宅の新築・購入・建て替えに補助金制度が設けられています。そこで今回は、ZEH住宅の特徴や受けられる補助金制度について解説します。
<本記事はこんな人におすすめ>
・ZEH住宅ってどんな家?必要な要素や基準、種類について理解したい方
・ZEH住宅の魅力や注意点は?メリット・デメリットを知りたい方
・ZEH住宅を建てる際は補助金が使えるって本当?2026年度の情報を知りたい方
<本記事でわかること>
・ZEH住宅とは、断熱・省エネ・創エネに優れた家のことで、種類ごとに基準が定められている
・ZEH住宅は気密性にも優れており、いつでも快適に過ごせるという魅力がある
・ZEH住宅は国の補助金制度が用意されており、家の性能や条件によって補助金の額は異なる
ZEH住宅とは

ZEH(ゼッチ)とは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。さまざまな工夫により住まいの年間エネルギー消費量を実質ゼロ以下にすることを意味します。
ZEH住宅に必要な要素
ZEH住宅には、断熱・省エネ・創エネという3つの要素が求められます。それぞれの目的は以下のとおりです。
・断熱:断熱性を高めることにより冷暖房にかかるエネルギー消費量を削減
・省エネ:省エネ効果の高い住宅設備の導入
・創エネ:再生可能エネルギーを利用した自家発電
つまり、ZEH住宅は「自分で生み出したエネルギーで、使う分を賄える家」のことを指します。エネルギー消費を抑えつつ、太陽光発電や蓄電池を活用して消費エネルギーを補う設備が必要です。
以下に、ZEH住宅における3つの要素の基準をまとめました。
| 性能 | 基準 |
| 断熱 | UA値(外皮平均熱貫流率)※1 0.4〜0.6W/㎡K以下 |
| 省エネ | 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量※2 から20%以上の一次エネルギー消費量削減 |
| 創エネ | 再生可能エネルギー等を加え、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減 |
※2: 基準一次エネルギー消費量とは、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料である「一次エネルギー」の消費量を指す。
なお、日本政府は2030年度以降に新築される住宅について、ZEH水準の省エネ性能の確保を目標に掲げています。
ZEHの種類
ZEHは、断熱性能や一次エネルギー消費量(冷暖房、換気、給湯、照明など住宅で使用するエネルギー量)の削減率、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用状況によって、主に以下の5種類に分類されます。
| 種類 | 一次エネルギー消費量削減率
(一般住宅と比較した場合) |
| ZEH | 以下の①~③のすべてに適合した住宅
①住宅の断熱性能に関する基準である強化外皮基準を満たしている。 ②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減 ③再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減 |
| ZEH+ | 以下の①~④のすべてに適合した住宅
①断熱等性能等級6以上 ②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量 から30%以上の一次エネルギー消費量削減 ③再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費 量から100%以上の一次エネルギー消費量削減 ④国が定めるZEH+の追加要件(高度エネルギーマネジメントや電気自動車との連携など)のうち、一定数を満たすこと |
| ZEH Oriented | 『ZEH』の①、②に適合した住宅
※再生可能エネルギー未導入でも可 ※都市部の狭小地や多雪地域など、太陽光発電設備の設置が難しい住宅が対象 |
| Nearly ZEH | 『ZEH』の①、②、かつ以下の④に適合した住宅
④再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減 |
| Nearly ZEH+ | 『ZEH+』の①、②、④、かつ以下の⑤に適合した住宅
⑤再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費 量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減 |
ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented、ZEH+、Nearly ZEH+の認定基準や補助制度の内容は、制度改正により変更される場合があります。最新情報は国や関係団体の公表内容をご確認ください。
なお、2027年4月以降は、従来のZEH基準を見直した「GX ZEHシリーズ」が導入される予定です。GX ZEHは断熱等性能等級6を基本とし、従来のZEHよりも高い省エネ性能や再生可能エネルギーの活用が求められる次世代のZEH基準として位置付けられています。
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ZEH住宅のメリット

ZEHは環境に優しいだけでなく、そこで暮らす人にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは、ZEH住宅が持つ主なメリットを6つ紹介します。
いつでも快適で健康に過ごせる
ZEH住宅の大きなメリットは、いつでも快適かつ健康に過ごせることです。ZEH住宅は壁や窓の断熱性能が高いため、外気温の影響を受けにくく、室内の温度を年中快適に保ちます。
また、部屋ごとの温度差が少なくなることで、冬場のヒートショック現象といった健康リスクの軽減につながります。家族全員がストレスなく、健やかに暮らせる住環境を実現できる点が大きな魅力です。
音漏れを軽減できる
ZEH住宅では、高い断熱性能を実現するために、壁の内部に分厚い断熱材を敷き詰めます。断熱材のなかには吸音効果が高い素材もあり、音漏れを削減できる効果が期待できます。
さらに、窓には気密性の高い複層ガラスを採用するケースも多く、遮音性の向上も期待できます。室内の話し声や足音などの音漏れを防ぐほか、屋外からの騒音も遮断することで、静かでプライベートな空間を維持できます。
光熱費を大幅に削減できる
ZEH住宅は気密性や断熱性が高く、家全体の冷暖房にかかる消費電力を抑えられます。そこに太陽光発電などの再生可能エネルギーによる発電システムをプラスすれば、電気代の削減に効果的です。ただし電気の使用量は、ライフスタイルや家族構成などによって異なります。また、発電量は気象条件などによって変動するため、使用電力のすべてを賄えるものではないことに注意してください。
災害時に強い
ZEH住宅のメリットの一つに「災害時に強い」ということが挙げられます。ZEH住宅は、再生可能エネルギーを利用した自家発電が可能な家です。太陽光パネルなどの発電装置が災害で破損しなければ、日照時間に応じて電気が生成されます。蓄電池があれば、夜間の電気使用も問題ありません。
また、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)を備えていれば、断水時の生活用水も確保できます。エコキュートとは、空気の熱と電気を利用してお湯を作る電気給湯器の一種です。貯水量は3~5人用で370リットル。家族の人数や使い方にもよりますが、2~3日は過ごせる量といえるでしょう。
住宅の資産価値向上につながる
ZEH住宅の補助金制度や減税制度などを利用する方法の一つに「BELS(ベルス)評価書」があります。
BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは、第三者評価機関が住宅・建築物の省エネ性能を評価・表示する制度です。エネルギー消費性能は星マークで表され、星の数が多いほど高性能の家であることを示します。
補助金の対象になる
ZEH住宅は、国や自治体が実施する補助制度の対象となる場合があります。ZEHの基準を満たすには、断熱・省エネ・創エネの条件をクリアしなくてはなりません。それぞれ高性能な設備の導入が必要で、費用もそれなりにかかります。補助金を受けられれば、経済的な負担も軽減できるでしょう。ただし、ZEH住宅を建築・購入すれば自動的に補助金を受けられるというものではなく、利用要件を満たしたうえで公募期間中に申請を行う必要があります。補助金制度については、後ほど詳しく解説します。
長期優良住宅の認定は受けるべき?メリット・デメリットを徹底比較!について詳しくはこちら
ZEH住宅のデメリット
環境にも家計にも優しいZEH住宅は魅力的ですが、いざ住み始めてから後悔しないようデメリットも把握しておきましょう。
初期費用やメンテナンス費用が高額になる
高性能なZEH住宅は、一般的な高気密・高断熱住宅に比べて費用が高額です。また、太陽光発電システムやエコキュートなど設備のメンテナンス費用もかかります。月々の電気代が大幅にカットできるというメリットはあるものの、その一部はメンテナンス費用に備えて貯蓄しておく必要がありそうです。
外観やデザイン、間取りが制約されることも
ZEH住宅の基準を達成するためには、窓や開口部の大きさ、屋根の形状・向きなどが制約を受ける可能性があります。外観デザインや、断熱性能を高めるために間取りにも影響するため、必ずしも思い描いた理想の家になるとは限りません。ZEH基準を満たしつつどこまで理想に近づけられるか、ハウスメーカーにしっかり相談することが大切です。
太陽光の発電量は季節・地域差がでやすい
ZEH住宅における「創エネ」は、主に太陽光発電が担っています。しかし、太陽光発電は日照時間や天候に大きく左右され、雨天や曇天、日差しが弱まる冬季は発電量が減少する可能性があります。
年間を通じて日照時間が短い地域では、想定通りの電力を賄えない可能性もある点に注意が必要です。
ZEH住宅の補助金制度について
日本政府は、ZEH住宅の推進を目指すなかで、さまざまな補助金制度を用意しています。
ここでは、2026年8月時点でのZEH住宅補助金制度を紹介します。
新築戸建ZEH補助金
新築戸建ZEH補助金は、個人が新築戸建住宅を建築・購入する際、その省エネ性能に応じて1戸あたり定額の補助金が交付される制度です。地域区分によって異なる場合があるものの、標準的な「ZEH」では45万円または55万円、「ZEH+」では80万円または90万円が支給されます。
さらに、蓄電システム(上限20万円)や電気自動車の充放電設備(上限10万円)など、導入する追加設備に応じた加算額も用意されています。
参考:2026年の経済産業省と環境省のZEH補助金について|一般社団法人 環境共創イニシアチブ
みらいエコ住宅2026事業
みらいエコ住宅2026事業は、子育て世帯または若者夫婦世帯がZEH水準住宅や長期優良住宅を新築する場合などに受けられる補助金制度です。ZEH水準住宅は1戸あたり35万円または40万円、長期優良住宅は75万円または80万円が補助されます。
また、この補助金は国の財源を利用しているため、他の国費補助金との併用はできません。
予算上限に達し次第終了するため、期間中の早期申請が求められます。対象要件の詳細や手続きについては、公式の最新情報をご確認ください。
ZEH住宅を検討する際の注意点
ZEH住宅を検討する際の注意点は以下のとおりです。
・初期費用が高くなる傾向がある
・利用する建築会社が限られる
・日照時間や天候を調べておく必要がある
・交付決定後の内容変更は原則認められない
・補助金の最新スケジュールを確認する
ZEHに関する補助金制度を利用するためには、制度によってはZEHビルダー・ZEHプランナー登録の建築会社を利用する必要があります。ZEHビルダー・プランナーとは、ZEH普及目標を掲げ、その実現に取り組む住宅事業者のことです。
上記のなかでも、実績が豊富で信頼できる事業者を選ぶ必要があり、利用する建築会社が限られる点に注意が必要です。
また、創エネ基準を満たすための太陽光の発電量は、日照時間や天候に左右されるため、事前の確認が欠かせません。さらに、ZEH補助金は予算枠に達し次第、受付を終了する場合があります。そのため、最新のスケジュールを確認しておくことも重要です。
高気密高断熱で後悔する8つの原因と対策|住んで分かったデメリットを解説について詳しくはこちら
トヨタホームの「ZEH住宅」ならエネルギー収支ゼロ以下を実現!

トヨタホームでは、電気の使用状況を管理できる「HEMS(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)」やオリジナル全館空調システム「スマート・エアーズ」などを搭載した、より快適で先進的なZEH住宅を提案しています。ZEH住宅では、制約されがちな大空間・大開口の実現も可能です。まずは一度、トヨタホームのZEH住宅についてチェックしてみましょう。
【注文住宅】ZEH(ゼッチ)とNearlyZEH(ニアリーゼッチ)の違いを分かりやすく解説!について詳しくはこちら
狭小地でも諦めない!ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)で都市部に家を建てようについて詳しくはこちら
【全国のトヨタホーム展示場を探す】
https://www.toyotahome.co.jp/s/tenjijo/?ad_cd=hometag
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https://www.toyotahome.co.jp/s/catalog/?ad_cd=hometag
ZEH/ゼロエネルギーハウス(スマートハウス)の建築実例はこちら
ZEH住宅に関するよくある質問
長期優良住宅とZEHのどちらがいいですか?
長期優良住宅とZEHは目的が異なるため「どちらがいい」と一概にはいえません。長期優良住宅は、耐震性・劣化対策・維持管理のしやすさなど、長く安心して住める住宅性能を重視した制度です。一方でZEHは、高断熱・省エネ設備・太陽光発電などにより、年間のエネルギー収支をおおむねゼロにすることを目指す住宅です。
長く住み続ける安心感や資産価値を重視するなら長期優良住宅、光熱費の削減や環境性能を重視するならZEHが向いています。ただし、両方の基準を満たす家づくりも可能です。補助金や税制優遇、住宅ローン控除などのメリットも変わるため、予算・建築地・暮らし方に合わせて、住宅会社にシミュレーションしてもらいながら検討すると良いでしょう。
長期優良住宅とZEH住宅は併用できますか?
長期優良住宅とZEH住宅は併用できます。認定の基準はそれぞれ異なるため、両方の条件を満たす設計にすれば併用が可能です。
補助金や税制優遇についても併用できる場合がありますが、制度によって条件や併用可否が異なるため、住宅会社や自治体に確認しながら進めると安心です。
ZEH住宅は義務化されますか?
ZEH住宅そのものが一律で義務化されるわけではありません。ただし、国は省エネ性能の高い住宅を増やす方針を進めており、2025年からすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられています。さらに2030年には、新築住宅の省エネ性能をZEH水準まで引き上げることが目標とされています。
ZEH住宅には太陽光発電が必要ですか?
一般的な「ZEH」の基準を満たすには、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入し、創エネを行う必要があります。ただし、都市部の狭小地など、太陽光発電設備の設置が難しい地域を対象とした「ZEH Oriented」など、創エネを必須としない区分もあります。建築地や住宅の条件に応じて確認しましょう。
ZEH住宅にすると光熱費を抑えられますか?
ZEH住宅は高断熱化や省エネ設備によって住宅で使用するエネルギーを減らし、太陽光発電などによって電気をつくるため、一般的な住宅と比べて光熱費を抑えやすくなります。ただし、実際の光熱費は家族構成や生活スタイル、設備の使用状況、太陽光発電量などによって異なります。
トヨタホームではZEH住宅を建てられますか?
トヨタホームでは、高い断熱性能と省エネ設備、太陽光発電などの創エネ設備を組み合わせたZEH住宅に対応しています。また、全館空調「スマート・エアーズPLUS」やV2Hなどを組み合わせ、快適性や省エネ性に加えて、電気自動車と住まいをつないだエネルギー活用も提案しています。
ZEH住宅とZEH+の違いは何ですか?
ZEH+は、ZEHよりも高い省エネ性能などを求められる住宅です。ZEHの要件に加えて、より高い断熱性能や一次エネルギー消費量の削減、自家消費を拡大するための設備などが求められます。より省エネ性能の高い住宅を検討する場合には、ZEH+も選択肢になります。
ZEH住宅とGX ZEHの違いは何ですか?
GX ZEHは、住宅分野のさらなる省エネルギー化や再生可能エネルギーの自家消費拡大に向けて新たに定められた基準です。従来のZEHよりも高い断熱・省エネ性能が求められ、GX ZEHでは断熱等性能等級6を満たすことなどが要件となっています。今後の住宅性能を考える際の新たな基準の一つです。
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