「リビング階段」と「吹き抜け」は、近年の注文住宅で人気の高い間取りです。両方を取り入れると、空間に広がりと抜け感が生まれ、デザイン性の高いおしゃれな住まいを実現できます。一方で、開放的な空間ならではのデメリットが生じることもあるため、事前にしっかりと理解しておくことが大切です。
本記事では、リビング階段×吹き抜けの組み合わせを検討している方に向けて、メリット・デメリットや、快適に暮らすための対策を分かりやすく紹介します。重要なポイントを事前に理解し、後悔のない家づくりをしましょう。
吹き抜けのある「リビング階段」が人気の理由とは?

吹き抜けと組み合わせる「リビング階段」は、近年の住宅で特に人気の高い間取りです。かつては玄関から直接2階へ上がれるホール階段が主流でしたが、家族の外出・帰宅に気付にくい、顔を合わせる機会が減るなどのデメリットがありました。
その点、リビング階段は、必ずリビングを通ってフロアを移動するため、家族同士が自然と顔を合わせやすく、コミュニケーションが自然と生まれます。また、階段の縦方向の抜け感によって、リビングの空間が広く見える視覚効果もあります。
加えて、リビング階段に吹き抜けを組み合わせると、光が入りやすく、より開放感のあるおしゃれな空間の演出が可能です。空間性とデザイン性の両面で相性が良い組み合わせとして、多くの家庭から支持を集めています。
リビング階段が合う間取り・敷地の条件とは?
リビング階段は、狭小地や変形地など、採光や通風を確保しにくい敷地にも適した設計です。吹き抜けや高窓と組み合わせることで、光と風が階段を通って家全体に行き渡り、快適な住環境をつくりやすくなります。
また、家族が主にリビングで過ごす間取りとも相性が良く、上下階の移動で自然と顔を合わせる機会が増えるのも魅力です。吹き抜けリビングや2階リビングと組み合わせれば、開放感とデザイン性を両立でき、限られた空間でもゆとりを感じられる住まいを実現できます。
「リビング階段×吹き抜け」のメリット

ここでは、リビング階段と吹き抜けを組み合わせることで生まれるメリットについて具体的に見ていきましょう。
空間に広がりが生まれて、より開放的になる
リビング階段を設置すると1階と2階がつながるため、タテに視覚的な広がりが生まれます。天井のない吹き抜けを組み合わせれば、さらに開放感が生まれ、部屋がさらに広く感じられるでしょう。圧迫感が無くなるため、置く家具やインテリアなどの選択肢が広がるのもうれしいポイントです。
上階からの自然光が1階まで届き、部屋全体が明るくなる
吹き抜けを取り入れると上階の高い位置からも光が差し込むため、部屋全体をすみずみまで明るくすることができます。リビング階段に蹴込み板がない「スケルトン階段」を採用すれば、光が階段に遮られることなく1階に届きより明るくなるうえ、光と陰影によって空間に表情が生まれる点もメリットです。
また、床や壁などに明るい色のものを選べば光を反射しやすくなり、さらに明るさが際立ちます。部屋全体が明るくなると、おしゃれな雰囲気も演出しやすくなるでしょう。
風の通り道が生まれ、自然換気できる
リビング階段や吹き抜けに窓を設けると、上下階の空気の流れを活かした自然換気がしやすくなります。暖かい空気は上昇するため、1階の窓から取り入れた新鮮な空気が階段や吹き抜けを通って上階に流れ、上部の窓から自然に排出されます。
こうした“タテの流れ”をつくることで、室内にニオイや湿気がこもりにくくなり、いつでも爽やかな環境を保てます。吹き抜け上部にシーリングファンを設置すれば、空気がさらに循環しやすくなるでしょう。
そのほか、全館空調システム(スマートエアーズ PLUS)のように、家中の空気を計画的に換気・温度管理できる設備を組み合わせると、快適な室内環境を通年維持できます。
自然換気と空調の両方をバランス良く取り入れることで、吹き抜けの快適性をより高められるでしょう。
階段越しに家族とのつながりを感じられる
吹き抜けとリビング階段を組み合わせると、上下階がゆるやかにつながり、家族の気配を身近に感じられる住まいになります。たとえば、2階で過ごしていても、リビングにいる家族の声や動きが自然と伝わるため、離れていても一体感や安心感が生まれるでしょう。
特に子どもが小さい家庭では、階下の様子がわかることで見守りがしやすく、家事や在宅ワークに集中できるメリットがあります。家族が自然と顔を合わせる機会も増えるため、日常のコミュニケーションがスムーズに生まれやすい点も魅力です。
「リビング階段×吹き抜け」のデメリット
一方で、リビング階段と吹き抜けの組み合わせにはデメリットも存在します。ここからは、そんなデメリットについてひとつずつ具体的に紹介します。
ニオイや音が上階に伝わりやすくなる
リビング階段と吹き抜けを組み合わせると空間がつながるため、開放感が生まれる一方で、ニオイや音が上階へ伝わりやすくなるデメリットがあります。たとえば、キッチンの油や煙のニオイが家中に広がる、リビングの話し声やテレビの音が2階まで響いて、家族の就寝を妨げるなどのケースがあります。
こうした不快感を解消するには、設計段階で工夫することが大切です。ニオイ対策は、リビング階段や吹き抜けに窓を配置して空気の逃げ道をつくる、オープンキッチン以外のレイアウトを選ぶなどの方法があります。空気が上下階に広がりやすい住宅の場合、家全体の空気を循環・浄化できる全館空調システムを導入することで、ニオイの滞留を抑えられます。
音対策は、寝室や書斎などの静かに過ごしたい部屋を、吹き抜けから離して配置するとよいでしょう。音漏れしやすい引き戸ではなく、気密性の高いドアを選ぶ方法もあります。間取りと設備の両面で対策を講じることによって、開放的な空間でも快適に暮らせる住まいを実現できます。
冷暖房効率が下がる
リビング階段と吹き抜けの組み合わせは縦方向に空間が広がるため、冷暖房効率が下がりやすいです。特に、冬は暖かい空気が上昇しやすく、1階の体感温度が下がってしまうことがあります。
寒さ対策として、吹き抜けの天井にシーリングファンを設置して空気を循環させる、高断熱・高気密の仕様を採用するなどの工夫が欠かせません。
また、上下階の温度差が生まれやすい間取りだからこそ、家全体を一つの空気の層として管理できる全館空調システムとの相性がとても良いという特徴があります。全館空調であれば、暖気が上に逃げても室内全体の温度を自動で整えられ、1階・2階の“温度ムラ”を抑えて快適さを保てます。
寒さが厳しい地域では、足元から温められる床暖房を併用することで、より心地良い住環境を実現できるでしょう。
掃除・メンテナンスが大変
吹き抜けやリビング階段は開放感を高められる一方で、掃除やメンテナンスの手間が増えやすい点にも注意が必要です。特に、吹き抜けの高い位置にある窓や照明は手が届きにくく、掃除のたびに脚立や延長タイプの掃除用具を出さなければいけません。梁や手すり、ガラス面もホコリが溜まりやすいため、こまめな清掃が必要不可欠です。
また、リビング階段は段差部分にホコリが落ちやすく、そのままリビングの床に積もる場合があります。日常的な掃除の頻度が増える可能性があるため、設計段階で掃除のしやすさも検討しておくと安心です。
「リビング階段×吹き抜け」の間取り実例5選
リビング階段と吹き抜けを効果的に取り入れた住まいづくりには、間取りの実例を参考にするのがおすすめです。本章では、トヨタホームが手掛けた吹き抜けとリビング階段のある実例を5つ紹介します。
開放感あふれるリビング階段のある住まい

玄関ホールから1階・2階・3階に視線がすっと抜けるスケルトン階段を採用し、タテ方向の抜け感と奥行きが心地良く調和した住まいです。階段を中心にリビングやダイニング、各階がゆるやかにつながる設計のため、家中のどこにいても家族の気配を自然に感じ取れます。
吹き抜けに設けた高窓からはやわらかな自然光が降り注ぎ、階段をつたって白い壁面に反射することで、空間全体に優しい明るさを届けてくれるのも魅力です。デザイン性の高いスケルトン階段は視線の抜けも確保でき、美しさと開放感を両立するアクセントとして住まいの上質さを高めています。
ナチュラルな光と調和するリビング階段のある住まい

シックなトーンでまとめたLDKに、スケルトン階段が軽やかなアクセントとして映える住まいです。階段が視線を遮らないため、空間の奥行きが生まれ、リビング全体に広がりを感じられます。スケルトン階段のリズム感あるデザインが、落ち着いた色味の室内に上質さを添えている点も魅力です。
また、南側に設けた大開口の窓からは自然光がたっぷりと差し込み、明るく心地良い雰囲気を演出しています。タイルテラスとリビングがゆるやかにつながる設計のため、外との行き来がしやすく、家族それぞれが自分らしい時間を過ごせる素敵な住まいです。
ナチュラルな光と調和するリビング階段のある住まいの施工事例を見る
重厚感あるリビング階段のある住まい

吹き抜けの開放感が際立つLDKに、存在感のあるスケルトン階段を配置することで、空間全体に伸びやかさとモダンな印象を与えている住まいです。大開口の窓から降り注ぐ自然光が、白を基調とした室内にやさしく広がっています。また、階段を通じて2階へと視線が抜ける構成によって、空間の広がりを生んでいます。
階段をLDKの中央に配置することで、家族が帰宅時に自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが自然に育まれる工夫も参考にしたいポイントです。テレビ背面の壁には全面にエコカラットを採用し、調湿・脱臭機能とデザイン性の高さを両立しています。ヘリンボーンの床とのバランスも絶妙で、ホテルライクな上質感を感じさせる空間です。
光と風が通るリビング階段のある住まい

中庭に面して大開口を設けた住まいに、存在感のあるスケルトン階段を配したプランです。
縦格子の手すりが印象的な階段は、2階まで続く大きな窓から降り注ぐやわらかな自然光に包まれ、空間のアクセントとしての役割を果たしています。また、白を基調とした内装との相乗効果によって空間全体が清潔感と開放感にあふれ、階段まわりが一層引き立っています。
階段を通して1階のLDKと2階が視覚的・動線的にゆるやかにつながり、リビングを中心としたコミュニケーションが育まれやすい設計になっている点も魅力です。視線の抜けや動線の工夫が、住まい全体の居心地の良さを高めています。
スタイリッシュなリビング階段のある住まい

広々としたLDKにデザイン性の高いスケルトン階段を配置し、1階から2階まで視線が抜ける開放感あふれる空間を実現しました。
デッドスペースになりがちな階段下には、ペット用のケージスペースや飼育用品の収納があり、人だけでなく動物も快適に過ごせる工夫が凝らされています。
また、動物たちの健康管理のために、全館空調「スマートエアーズ PLUS」を導入している点も注目ポイントです。整った家事動線や余裕のある収納設計とともに「デザイン」と「暮らしやすさ」の両立を叶えています。
「リビング階段×吹き抜け」で空間をおしゃれに仕上げるコツ

ここでは、リビング階段と吹き抜けを取り入れる際に意識するべき点について紹介します。ポイントを押さえて、リビングをよりおしゃれな空間に仕上げてみてください。
階段のデザイン性にもこだわる
一口に階段といっても、実はさまざまな種類があります。デザイン性の高い階段を取り入れれば、より一層部屋全体をおしゃれな雰囲気にできるでしょう。
たとえば、らせん階段は吹き抜けとの相性もよいデザインで、取り入れればぐっとおしゃれな印象になります。蹴込み板の無いスケルトン階段にすると光や風も通しやすく、吹き抜けの開放感をたっぷり感じられます。
勾配天井にし、タテの広がりを強調する
リビング階段や吹き抜けには、勾配天井を組み合わせるのもおすすめです。勾配天井とは屋根の形を利用して傾斜をつけた天井のことで、通常の天井よりも天井高を上げることができます。
同じ空間の天井の高さが違えば場所によって見え方も変わり、空間にメリハリが生まれてさらに広がりを感じられるでしょう。また、勾配天井では小屋根裏スペースもできるため、一部にロフトを設置できるなど実用面でもメリットがあります。
おしゃれな吹き抜けを作るアイデア集!間取り例やデメリット対策方法も伝授について詳しくはこちら
照明・アクセントウォールを取り入れる
吹き抜け空間をより洗練された印象に仕上げるには、照明計画や壁面デザインの工夫が欠かせません。
たとえば、階段上部にペンダントライトや間接照明を配置すると、光と陰影のコントラストが生まれ、空間全体に立体感と奥行きが生まれます。手すりや壁面に控えめな間接照明を仕込めば、夜間も階段まわりがやわらかく照らされ、浮かび上がるような美しい演出が可能です。
また、吹き抜けの大きな壁面を活かしてアクセントウォールを設けると、階段まわりのデザイン性が一段と高まります。素材にはタイル、木目、グレー系の塗装などが人気で、光を受けたときの表情の変化も楽しめる点が魅力です。
「吹き抜け × 照明 × アクセントウォール」の組み合わせは、昼と夜で雰囲気が変わる上質な空間演出に効果的です。
家具のレイアウトを工夫する
吹き抜けの開放感を最大限に引き出すには、家具選びと配置にも工夫を凝らしましょう。まず意識したいのは、視線の抜けを妨げないように、高さを抑えた家具を中心にそろえることです。ローソファや低めのテレビボードを選べば、縦方向の伸びやかさがより際立ち、広々とした印象のリビングをつくれます。
また、階段のデザインを引き立てたい場合は、階段にかからない位置へ家具をまとめて、導線をすっきりと保つことがポイントです。空間にほど良い余白が生まれ、スケルトン階段のシルエットや素材感が美しく際立ちます。
家具の素材や色味を階段・手すりと揃えると、空間全体に統一感が生まれ、吹き抜けの上質な雰囲気をより一層高められるでしょう。
開放的な住まいを実現したいなら、柱や壁の制約が少ないトヨタホームで家づくりをしよう!
人口密度が高く、広い土地を確保しにくい都市部では、限られたスペースをいかに広く、開放的に活かせるかが家づくりの満足度を左右します。
開放感のある間取りを自在にデザインしたい方には、トヨタホームが採用する鉄骨ラーメンユニット構造がおすすめです。柱や壁の制約が少ないため、大開口の窓や広いリビング、吹き抜けなどを組み合わせて採用できます。
また、開放的な空間でも快適に暮らせる全館空調システムを搭載すれば、上下階の温度差を抑え、吹き抜けでも一年中心地よい住環境を維持できます。構造の自由度と温熱環境の快適性の両方を叶えられる点は、トヨタホームならではの強みです。
豊富な施工実績と長期にわたるサポート体制をもつトヨタホームであれば、家族のライフスタイルに寄り添った理想の住まいづくりができます。
「どのような間取りがつくれる?」「全館空調の住み心地は?」と気になった方は、ぜひ無料カタログ請求やお近くの展示場へお越しください。家づくりのヒントがきっと見つかるはずです。
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よくある質問Q&A|「リビング階段×吹き抜け」のギモンを解決!
ここでは、リビング階段と吹き抜けに関してよく寄せられる2つの質問を取り上げ、設計段階で意識しておきたいポイントを解説します。
Q. リビング階段にすると寒い?
リビング階段や吹き抜けは上下階がつながる構造のため、冬場は暖気が上階へ逃げやすく、1階が冷えやすいと感じる方もいるでしょう。しかし、設計と設備の工夫で快適性は十分に高められます。
たとえば、高断熱性能の窓を採用し、床暖房やシーリングファンを併用することで、空気の循環を促しながら温度ムラを抑えられます。さらに、全館空調を導入すれば、家全体を均一な温度に保ちやすく、リビング階段や吹き抜けのある住まいでも冬の寒さを感じにくい環境の実現が可能です。
見た目の開放感やデザイン性を維持しつつ、快適な室温を保つためには、断熱・気密・換気のバランスを設計段階から整えておくことが大切です。
Q. リビング階段にしても来客時のプライバシーは保てる?
リビング階段は家族の気配を感じやすい反面、来客時に動線が重なり、生活感が伝わりやすいのでは…と不安に感じる方もいます。特に、2階の個室へ行く際に必ずリビングを通る間取りだと、来客の視線が気になるケースもあるでしょう。
しかし、階段の配置を工夫すれば、プライバシーは十分に確保できます。たとえば、階段をリビングの奥側にずらしたり、壁際に寄せて設置したりすると、来客から階段が直接見えにくくなります。アイアン手すりではなく、壁やパーテーションを採用する方法も効果的です。
吹き抜けの開放感を保ちながら、来客スペースとプライベート動線に程良い距離感をつくることで、デザイン性と居心地の良さを両立できます。



















