ビルトインガレージには多くのメリットがありますが、設計段階での配慮が足りないと、住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と感じる場面が出てくるかもしれません。この記事では、ビルトインガレージの魅力と注意点に加え、実際に多い“後悔事例”と、後悔を回避するための具体的な対策を解説します。
ビルトインガレージとは?

ビルトインガレージとは、家の1階部分に駐車スペースを設け、シャッターなどで開閉できるようにしたガレージのことです。建物に内蔵されることから「インナーガレージ」とも呼ばれており、愛車を雨風や盗難から守りたいという車好きの方を中心に人気を集めています。
ビルトインガレージの魅力は、住宅とは別に駐車スペース分の土地を確保する必要がないため、都市部の狭小地でも有効に土地を活用できる点です。
ビルトインガレージは単なる駐車スペースとしてだけではなく、さまざまな楽しみ方ができます。例えば、ガーデニング用品やアウトドア用品、冬用タイヤなど、かさばりがちで家の中に置きにくいアイテムの収納スペースとしても便利です。また雨の日の遊び場や、夏場の子ども用プールの設置場所として使用してもよいでしょう。DIYやプラモデル作り、映画鑑賞スペースなど趣味を楽しむ場としての利用もおすすめです。シャッターを開放すれば、BBQやパーティー会場としても重宝します。
また、EV(電気自動車)の充電設備を自宅に設置しやすい点も、近年注目される理由の一つです。ライフスタイルに合わせて自由に活用できるため、家族にとって使い勝手のよい空間になります。
一方で、居住部分の一部として扱われるため固定資産税の課税対象となり、税負担が増える可能性もあります。これらの特徴を踏まえ、慎重に設計・計画することが重要です。
ビルトインガレージで後悔しやすい6つの失敗例

便利で魅力的なビルトインガレージですが、実際に家を建てた後で「こうしておけばよかった」と後悔するケースも少なくありません。ここでは、特に多い6つの後悔事例を紹介します。
駐車スペースが狭くて車を買い替えられず後悔した
今乗っている車や、国産車のサイズを基準にビルトインガレージのサイズを決めてしまい後悔することは少なくありません。なぜなら新しい車に買い替える際、常に「ビルトインガレージに収まるかどうか」という基準で車種を選ばなければならないからです。
特に海外の自動車メーカーの車は、車幅や車高が日本車より大きく、ガレージに入らずに諦めるしかないケースもあります。こうした制約によって、家族構成やライフスタイルの変化に合わせた車選びができなくなるのは、不満につながりやすい要素です。「もう少し広く設計しておけばよかった」と後悔する声は少なくありません。
換気不足で排気ガスや湿気がこもり後悔した
ビルトインガレージは外気と直接つながりにくい構造のため、換気計画が不十分な場合はさまざまな問題が発生します。たとえば、寒い日に暖機運転してから車内を温める場合は、ガレージ内に排気ガスが充満してしまいます。住宅と一体化しているビルトインガレージでは、窓やドアから排気ガスが居住スペースに流れてしまい、臭気が気になることもあるでしょう。
場合によっては、ビルトインガレージ内にこもった排気ガスや湿気が健康面に悪影響を及ぼしかねません。実際に「少しアイドリングしただけで家の中にまで臭いが残ってしまった」という声もあり、快適な暮らしを実現できなかった事例もあります。
シャッター音やエンジン音が家中に響いて後悔した
シャッターの開閉音やエンジン音は、想像以上に響くことがあります。特に深夜や早朝に車を出し入れする場合、近隣への配慮が欠かせません。
ガレージの真上に寝室や子ども部屋を配置した住まいでは「就寝中にシャッター音で目が覚めた」「子どもが起きてしまった」といった声もあります。利便性を重視したはずのガレージが、日常のストレス要因となるケースもあるため注意しましょう。
生活動線が悪く階段の上り下りで後悔した
ガレージの位置を優先した結果、玄関やリビングへの動線が複雑になり、日常生活に支障をきたすケースは少なくありません。生活動線がコンパクトにまとまらないと移動距離が長くなり、暮らしにストレスを感じる方もいるでしょう。
特に3階建て狭小住宅では、1階部分にビルトインガレージをつくったために間取りに制約が生じ、階段移動が多くなりがちです。若い世代のうちは気にならなくても、年齢を重ねるにつれて「もっと動線を考慮しておけばよかった」と感じる方は少なくありません。
建築コストや税金が想定以上にかかり後悔した
ビルトインガレージは、建物の耐震性を確保するために鉄骨や補強材を追加する必要があり、一般的な住宅より建築コストが高くなる可能性があります。ガレージ部分も延べ床面積に含まれるため、固定資産税の負担が増加する点も見逃せません。
「駐車場代を節約できると思っていたのに、建築費や税金で思った以上にコストがかさんだ」という声も多く、資金計画の甘さが後悔の大きな要因になることがあります。
ガレージで居室の日当たりが制限され後悔した
1階にガレージを設けると、隣接する居室の採光や日当たりが悪くなるため注意が必要です。特にリビングやダイニングなど、長時間過ごす空間の横に設置すると「思った以上に暗く、昼間でも照明が欠かせない」と感じる方もいます。
ガレージを設けたことで住空間に閉塞感がうまれ「もっと明るさを考慮すべきだった」と後悔するケースも少なくありません。採光窓や吹き抜けを取り入れるなどの工夫で、明るさを確保しておくことが大切です。
ビルトインガレージの後悔を防ぐための対策とチェックポイント
ビルトインガレージで後悔しないためには、設計段階から具体的な対策を講じることが重要です。ここでは、特に意識したい6つの対策とチェックポイントを紹介します。
将来の車種変更も考えて余裕あるサイズを確保する
現在所有している車のサイズに合わせてガレージを設計してしまうと、将来的な車種変更に対応できなくなる可能性があります。特に輸入車やSUVなどの大型車は、国産車よりも全体的にサイズが大きいため、幅・奥行き・高さのいずれも余裕をもたせておくことが重要です。
一般的に、車1台分のスペースとしては約5坪が目安ですが、少し大きめに設計しておくと自転車やタイヤなども収納でき、長期的に使いやすいガレージになります。
換気扇や小窓などガレージ専用の換気計画を取り入れる
ビルトインガレージは住宅と一体化しているため、排気ガスや湿気がこもりやすい環境です。換気計画が不十分だと、排気ガスの臭いが居室にまで広がったり、湿気によってカビが発生したりするリスクもあります。
臭いやカビを防ぐには、大型の換気扇の設置や、複数の換気口・小窓を設けるといった対策が有効です。隣接する部屋には気密性の高いサッシやドアを採用し、臭いや湿気の侵入を防ぐことで、住まい全体の快適性を維持できます。
静音シャッターを選び、寝室の配置も工夫する
シャッターの開閉音やエンジン音は想像以上に響くものです。特に、深夜や早朝に車を出し入れする場合は、家族や近隣への配慮が必要といえるでしょう。
騒音を軽減するためには、静音性に優れた電動シャッターを採用するのが効果的です。睡眠の妨げにならないように、ガレージの真上や隣に寝室や子ども部屋を配置することは避けるといった配慮も欠かせません。騒音が日常生活に支障をきたさないように、リビングや水回りなど、音の影響を比較的受けにくい部屋をガレージ付近に配置しましょう。
動線を意識した間取りと、将来を見据えた設計をする
ビルトインガレージを設けると、構造上どうしても間取りに制約が生じやすくなります。そのため、玄関からリビングやキッチンへの移動がスムーズか、階段の位置や段数が日常生活の妨げにならないかといった生活動線の検討が不可欠です。
若い世代にとっては問題ない動線でも、年齢を重ねると不便に感じる可能性も考慮し、入念にシミュレーションを行いましょう。家族全員が快適に暮らせる住まいを実現するためには、ガレージの利便性だけでなく、住まい全体の使いやすさにも目を向けることが大切です。
建築コスト・固定資産税まで含めた資金計画を立てる
ビルトインガレージの建築には、耐震性を確保するための構造補強が必要となる分、建築コストが高くなりやすい点に注意が必要です。また、ガレージ部分は延べ床面積に含まれるため、固定資産税の負担も増加します。
特に税金は、家を建てた後に気づいて後悔する要因になりがちです。建築費だけでなく、税金や将来発生するメンテナンス費用なども含めた長期的な資金計画を立てておきましょう。
採光・通風を確保して居住空間の快適さを守る
ビルトインガレージを設けると、ガレージに隣接する居室の採光や風通しが制限されやすくなります。後悔を防ぐためには、居室の明るさや空気の流れを意識した設計が欠かせません。
スリット窓を採用すれば、デザイン性を損なわずに自然光を取り入れられます。吹き抜けや中庭を設けると、明るく風通しの良い空間になるでしょう。昼間でも照明が必要になるような暗い居室を避けるため、採光計画は早い段階で検討しておくことが後悔を防ぐポイントです。
ビルトインガレージのメリット
ビルトインガレージで後悔しがちなケースを紹介する前に、まずはビルトインガレージを採用するメリットをおさらいしておきましょう。
狭小地でも駐車スペースを確保できる
都市部では土地代が高く、狭小地では住宅分の土地以外に駐車場のスペースを確保できないケースも少なくありません。そんな時でもビルトインガレージを作れば、場合によっては1階部分に車2台が入る駐車場スペースを設けることができます。1階部分を駐車スペースにする代わりに、3階建てにして縦に居住スペースを延ばせば、生活に必要な部屋数も確保できるでしょう。
狭小地に建てる3階建てビルトインガレージにつきまして、詳しくはこちらをご覧ください。
愛車を雨風や盗難から守れる
ビルトインガレージでは屋内に車を収納できるため、駐車している車を雨や風、紫外線などから守ることができます。また、車へのいたずらや車上荒らしなどの迷惑行為の予防としても有効です。さらに天気や昼夜を問わず、いつでも洗車やメンテナンスができるため、愛車好きの人にとっては最高のスペースになるでしょう。
雨の日でも荷物の出し入れが快適
屋内に駐車できるビルトインガレージでは、雨の日でも駐車場から家まで濡れずに出入りすることができます。買い物帰りで大量の荷物を運ぶ際、両手がふさがっていても傘を差す必要がありません。また雨に濡れる心配がないため、小さな子どもをチャイルドシートに乗せたり、高齢者が乗り降りしたりする場合も慌てずに済むでしょう。
EV(電気自動車)の充電スペースとして活用できる
ビルトインガレージは、EV(電気自動車)との相性も抜群です。ガソリン車と違い、EVでは排気ガスが出ないため、ガレージ内に排気ガスが溜まる心配もありません。ガレージには電気自動車専用コンセントの取り付けも可能なので、ガレージでそのまま充電ができ使い勝手がよくなるのと同時に、住宅の非常時の予備電源としても活躍します。
2030年には、日本市場においてもEVの新車販売台数のシェアが50%を超えると見込まれています。今EVに乗っていなくても、将来的には一般的な駐車場よりビルトインガレージのほうが重宝するかもしれません。
収納や趣味のスペースとしても使える
ビルトインガレージは単なる駐車スペースにとどまらず、多機能な空間としても活用できます。十分な広さがあれば自転車やバイク、アウトドア用品、タイヤなども収納できるため、屋外に物置を設ける必要がありません。
また、DIY作業や音楽の練習など、作業・趣味のスペースとしても適しています。生活スタイルに合わせた自由な使い方、自分だけの時間や空間の楽しみ方ができる点も、ビルトインガレージならではの魅力です。
建物の外観デザインがすっきりする
外にカーポートや駐車スペースを設ける必要がなく、建物の外観をすっきりと見せられるのもビルトインガレージのメリットです。建物とガレージが一体化しているため、高級感のある統一されたデザインを演出できます。
都市部の住宅街などでも景観を損ねず、スタイリッシュな印象かつデザイン性の高い住まいづくりができるでしょう。ビルトインガレージは、建築全体の美しさや機能性を損なうことなく、洗練された住環境を目指す方におすすめです。
後悔しないビルトインガレージのある住まいをトヨタホームで叶えよう!

ビルトインガレージには土地を有効活用できたり、愛車を風雨から守りやすくなったりとメリットがある一方、排気ガスが充満したりエンジン音が響いたりするなどのデメリットもあります。建ててから後悔しないためにも、対策方法についてしっかり把握しておきましょう。また耐震性にも考慮したいものです。
トヨタホームでは、高層ビルにも採用される地震に強い「鉄骨ユニットラーメン構造」を採用しています。鉄の持ち味であるしなやかな粘り強さを持ち、構造全体で地震の力を吸収する高い耐震性が特徴です。ビルトインガレージにも最適の構造で、採用すれば耐震性の高い住宅が実現できるでしょう。
どのような構造かさらに詳しく知りたい人は、まずはカタログ請求をしてみましょう。実物をご覧になりたい方は、一度お近くのトヨタホーム展示場まで足を運んでみてください。
※耐震性に関する情報は2023年1月時点の情報ですので、詳しくはお近くのトヨタホーム展示場スタッフにお問い合わせ下さい。
【全国のトヨタホーム展示場を探す】
https://www.toyotahome.co.jp/s/tenjijo/?ad_cd=hometag
【カタログ請求はこちら】
https://www.toyotahome.co.jp/s/catalog/?ad_cd=hometag
トヨタホームのビルトイン/インナーガレージの建築実例はこちら
ビルトインガレージの後悔に関するよくある質問
ガレージが狭くて使いづらいと感じた場合の対策は?
車のドア開閉や荷物の出し入れを考えると、幅3.0m×奥行5.5m以上のスペースを確保するのが理想です。すでに建築済みの場合は、スライドドア搭載車への乗り換えや収納位置の見直しで使い勝手を改善できます。
室内への排気ガスや臭いが気になる場合はどうすればいい?
換気扇や小窓の追加に加え、ガレージと居住空間を気密ドアで仕切るのが効果的です。シーリング材や断熱ドアを使うことで、臭気・湿気・騒音が居住空間に侵入するのを防げます。
音や振動のトラブルを防ぐには?
エンジンの駆動音やシャッターの開閉音が、寝室やリビングに伝わりやすい配置の場合は後悔しやすいです。居室とガレージを離す間取りや防音材の使用、シャッターの開閉方向の工夫で、生活音を最小限に抑えられます。
ビルトインガレージは湿気・結露が起きやすいって本当?
本当です。屋内空間にあるため外気との温度差が大きく、結露・カビ・サビが発生しやすくなります。換気扇や通風窓を設け、断熱・防湿仕様の壁材を採用することで防げます。床には排水溝・水勾配も必須です。
メンテナンス面で気をつけることはありますか?
車の排気・湿気・オイル汚れで痛みやすい空間です。塗床仕上げ(エポキシなど)や、防錆ペイントを使うことで耐久性が向上します。シャッターや照明など、電動機器の定期点検も忘れず行いましょう。
防犯面で後悔しないためには?
ガレージが外部とつながる動線になるため、防犯ガラス・電動シャッター・人感センサー照明の設置が有効です。屋内につながるドアには鍵付きハンドルを採用し、ガレージからの侵入リスクを最小限に抑えましょう。
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