ガレージを1階部分に組み込んだ「ガレージハウス」は、愛車を眺めながら暮らせる特別感が魅力です。しかし同時に、音や振動、排気ガスの換気対策といった課題もあり、間取りの工夫を怠ると「こんなはずじゃなかった…」と後悔につながることもります。
この記事では、ガレージハウスの間取り決めで注意すべきポイントから、快適に暮らせるおすすめの間取り実例、そして建築にかかる費用相場まで詳しく解説します。失敗しない家づくりのために、ぜひ参考にしてください。
ガレージハウスの間取り決めをする際の注意点
ここからは、ガレージハウスの間取りを考えるときに押さえておきたい注意点を解説します。どれも住み心地に直結するポイントなので、しっかり確認しておきましょう。
長期的な視野で駐車スペースの広さを決める
ガレージハウスを建てる際、駐車スペースは「現在、所有している車の台数」や「現在、所有している車種」を基準に決めがちです。しかし敷地面積に余裕があるなら、長期的な視野で駐車スペースの広さを決めることをおすすめします。
例えば子どもが成長してマイカーを持ちたいと言うかもしれませんし、今は国産車に乗っているけれど将来的には海外製の大きなSUV車に乗り換えるかもしれません。長期的な視野で駐車スペースの広さを決めなければ、「駐車1台分しかない」「国産車は入るけどこれ以上大きな車は入らない」など、せっかく作ったガレージを生かせないケースが出てくる可能性もあります。
狭小住宅で駐車スペースを1台分しか確保できない場合も、車が駐車できるスペースだけではなく、できる限り汎用性のある広さを検討してみましょう。例えば収納スペースや自転車、バイクなどをプラスで収納できるくらいの広さを検討しておくと、いざというときに役立つでしょう。
ちなみに駐車スペースは車1台分なら約5坪、車2台分なら約10坪ほどの広さが必要です。多少スペースが余ると感じられても、乗降スペースに余裕が出れば使い勝手が格段によくなるでしょう。
広さにつきましては、以下の記事でも詳しく紹介しておりますので併せてご覧ください。
【注文住宅】ビルトインガレージの寸法、幅や高さについて知っておきたい注意点を解説
【注文住宅】ビルトインガレージを作るなら間取りはどうする？ポイントを解説
ガレージ動線を考慮した間取りにする
ガレージ動線とは、人がガレージと家との間を移動する経路のことです。ガレージハウスの場合、基本的には玄関を経由せずにガレージと室内がつながっていることが多く、ガレージ動線がコンパクトにまとまりやすいのが魅力です。とはいえ、その動線もしっかり考慮して間取りを決めなければ、使いにくさにつながってしまうこともあります。
例えば買い物の荷物を運び入れることを考えると、ガレージとリビングとつなげるよりもキッチンとガレージをつなげた方がより効率的です。パントリーを作るなら、ガレージとパントリーをつなげることも一案でしょう。これなら持ち帰った買い物の荷物を直にパントリーに持ち込めます。
ガレージハウスの利点を生かすためには、家族のライフスタイルに合わせて、ガレージ動線を決めることも大切です。
ガレージの騒音や振動を感じにくい間取りにする
ガレージハウスにすると、ガレージのスペースで24時間365日、愛車をメンテナンスすることも可能になります。とはいえ深夜にエンジンをかけると、その音や振動が家中に響き渡り、他の居室で寝ている人にとっては大迷惑なこともあるでしょう。そうならないためにも、ガレージハウスの間取り決めの際は、できるだけ静かに過ごしたい部屋とガレージを離すことが重要です。
平屋なら、ガレージの隣にLDKを配置して、主寝室や子ども部屋とは離す間取りも良いかもしれません。2階建てなら、ガレージの上に主寝室や子ども部屋が配置されないようにする、といったような対策をしましょう。
ガレージに音を吸収する天井材を使うだけでも、上の階へ音が響きにくくなります。配置による細かい対策が難しい場合は、設計時点でハウスメーカーに相談してみるのがおすすめです。
ガレージの換気対策は万全に行う
ガレージハウスでは、車の排気ガスやニオイがこもったり、居室スペースに流れ込んだりすることもあります。また充満した排気ガスによって、ガレージの壁やシャッターが汚れる可能性も高いでしょう。そのため、ガレージ内には大きな換気扇を設置するのが一般的です。
できれば換気扇は、工業用などの強力なものを空気の流れを作りやすい場所に設置すると、ガレージのなかをまんべんなく換気できるでしょう。さらに換気扇にプラスして換気対策を行うなら、小窓をガレージに設置して自然換気できるようにする方法も有効です。
もしリビングなどへの出入り口に扉を設置する際は、気密性の高い扉にすると排気ガスやニオイの流入が防げます。こちらも設計段階で、ハウスメーカーに相談しておくことをおすすめします。
採光・通風が制限されやすい点に注意する
ビルトインガレージは構造上、壁面が増えるため窓を設置しにくく、隣接する部屋が暗くなったり風通しが悪くなったりするリスクがあります。このような問題を避けるためには、天窓（トップライト）や高窓、中庭、吹き抜けなどを取り入れて、自然光と通風を確保する工夫が有効です。
さらに建築基準法では、「ガレージ越しの窓」は採光として認められない可能性もあるため、建築確認申請の段階で行政や検査機関に事前確認しておきましょう。
防犯性を意識した設計にする
ガレージは外部と屋内を直接つなぐ構造のため、侵入経路になりやすい点に注意が必要です。
特に手動シャッターを閉め忘れると、不審者がガレージから侵入するリスクを高めてしまいます。対策としては、防犯性能の高い電動シャッターを設置するほか、防犯カメラやセンサーライトを併用するのが効果的です。加えて、ガレージから玄関やリビングへの動線を外部から見えにくいレイアウトにすることで、不審者に「侵入しにくい」と思わせる心理的な抑止効果も期待できます。
家事動線や生活動線と干渉しないか確認する
ガレージを住まいに組み込むと、日常の利便性が大きく高まります。たとえば、車からラクに荷物を運び入れられる、雨の日でも濡れずに玄関へアクセスできる、子どもの送迎がスムーズになるなどのメリットがあります。
ただし、ガレージを生活動線に近づけすぎると、居住スペースでの騒音や通行の混雑が起きやすくなる点には注意が必要です。
後悔しないためには、家事・通勤・子どもの送り迎えなど実際の生活シーンを具体的に想像し、利便性と快適性のバランスが取れる配置を検討しましょう。
収納や趣味スペースの余白を考える
ガレージを車専用にすると、収納や趣味のためのスペースが不足することがあります。実際には、自転車やベビーカー、アウトドア用品、工具などを置くケースが多いため、余白を意識して設計することが大切です。
趣味や収納スペースを合わせた広さの目安としては、最低でも幅3m×奥行6mです。少し広めにしておけば、収納だけでなく趣味スペースとしても活用でき、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。
ガレージハウスの間取り例を紹介
ここからは、坪数別にガレージハウスの間取りを紹介します。実際の間取りを参考にして、自分たちのガレージハウスのイメージを膨らませてみましょう。
【30坪台】2台駐車可能なガレージハウス
延べ床面積126.57m2（38.3坪）、2階建てタイプの間取り図です。LDKの北側に大開口部があり、並列で2台の駐車スペースがあるインナーガレージを設置しています。さらにLDKには大きな窓を作ってあるため、リビングから愛車が眺められる、車好きにはこの上ない仕様です。
【30坪台】2台駐車可能なガレージハウスの間取り詳細はこちら
【40坪台】玄関とガレージをつなげたガレージハウス
延べ床面積135.89m2（41.1坪）、2階建てタイプの間取りです。南側に１台分の駐車スペースがあるインナーガレージを設置しました。玄関とガレージをつなげる動線にして、生活動線をコンパクトにまとめてあります。２階LDKですが、玄関から入ってすぐに納戸があるため、荷物の出し入れもスムーズにできます。
【40坪台】玄関とガレージをつなげたガレージハウスの間取り詳細はこちら
【40坪台】愛車をインテリアにできるガレージハウス
2台分の車をゆったりと並列駐車できるインナーガレージを備えた住まいです。大型SUVやミニバンでも余裕を持って駐車できるため、複数台所有している家庭でも安心です。ガレージの広さが十分に確保されているので、日常の出し入れの際に不便を感じません。
さらに、ガレージとLDKはガラス越しにゆるやかにつながっており、室内から愛車を眺められるインテリア性も兼ね備えています。ガレージを「保管場所」としてだけでなく、「見せる趣味空間」として設計しており、車をこよなく愛する方にとって理想的な住まいといえるでしょう。
【40坪台】愛車をインテリアにできるガレージハウスの間取り詳細はこちら
【50坪台】ゲストルームとつながるガレージハウス
延べ床面積176.99m2（53.5坪）、3階建てタイプです。大開口部のあるインナーガレージと、ゲストルームにもなる和室をつなげた間取りが特徴的です。主寝室や洋室からはガレージの位置が離れているため、音なども気にせずガレージを利用できるでしょう。
【50坪台】ゲストルームとつながるガレージハウスの間取り詳細はこちら
その他トヨタホームのビルトインガレージのある家の建築実例は、こちらをご覧ください。
【60坪台】二世帯で快適に暮らすガレージハウス
3階建て二世帯住宅ならではの、“ほどよい距離感”を大切にしたガレージハウスです。世帯ごとのプライバシーを守りつつ、家族同士が自然につながれる開放的な空間が魅力になっています。
特に、26帖の広々としたLDKとインナーガレージを組み合わせた設計は、日常生活の快適さと利便性を両立しています。ガレージと居住スペースがスムーズに接続されているため、車の出し入れや荷物の運び入れもスムーズです。
また、収納やホームオフィスの確保、全館空調の導入など、現代の多様な家族スタイルに対応できる機能性も充実しています。二世帯での安心・快適な暮らしを実現するモデルケースといえるでしょう。
【60坪台】二世帯で快適に暮らすガレージハウスの間取り詳細はこちら
【間取り図付き】おしゃれで便利なガレージハウス建築実例集
ここでは、トヨタホームが手掛けたガレージハウスの建築実例を紹介します。生活動線や採光、デザインの工夫を参考にしながら、自分たちの理想の住まいをイメージしてみましょう。
光と風が織りなすシンプルモダンなガレージハウス
ガレージから玄関ホールに直接アクセスできるため、雨の日でも濡れずに移動しやすい利便性の高い設計が特徴です。買い物帰りには荷物をそのまま運び込めて、生活動線の効率が大幅に向上します。
さらに、ガレージ横には中庭があり、リビングやダイニングに自然光と風を届けるとともに、愛車を眺められる贅沢な空間を演出しています。外からの視線を遮りながら、開放感とプライベート性を両立したモダンな住まいです。
光と風が織りなすシンプルモダンなガレージハウスの建築実例を見る
機能性とデザイン性を両立したガレージハウス
木目調のシャッターを採用したインナーガレージは、道路から見ても上質な存在感を放ち、外観に重厚感と温かみを与えます。ガレージから玄関へ直接アクセスできる設計となっており、雨の日でも濡れずに移動できる利便性の高さが魅力です。
さらに、ガレージの配置を工夫することでLDKや中庭に自然光をたっぷり取り込め、開放感と快適性を兼ね備えた住空間に仕上がりました。大空間のリビング＆キッチンは家族団らんの中心となり、友人を招く際も心地よく過ごせる時間を演出してくれます。機能性とデザイン性を両立させた住まいとなっているため、実用性と美しさを求める方ほど参考になるガレージハウスです。
ガレージハウスの費用相場
インナーガレージの坪単価は一般的に、50万～80万円ほどが目安とされています。駐車スペース1台分に必要な広さは約5坪とされるため、ガレージ部分だけで約250万～400万円の費用がかかります。
たとえば、住宅本体の建築費用が3,000万円の場合、インナーガレージを加えると合計3,250万～3,400万円程度が必要になると考えるとよいでしょう。
また、ガレージには車の出入りのために大きな開口部を設ける必要があり、木造よりも鉄骨構造の方が耐震性に優れる傾向があります。鉄骨は木造より費用が高くなるデメリットがある一方で、設計の自由度が高く、駐車スペース内に柱や壁を設けずに使い勝手の良い広々としたガレージを実現できます。
ガレージ2台分を確保するための広さの目安
車を2台収納できるガレージを計画する場合、必要となる広さは約8〜10坪です。ただし、車の大きさやガレージ内での作業スペース、収納の有無によっても適切な広さは変動します。ここでは、「並列駐車」「縦列駐車」それぞれの目安と、快適に使うための余白スペースについて詳しく解説します。
並列駐車の場合
並列駐車をする場合、ガレージのサイズは幅5.0〜6.0m × 奥行5.0〜6.0mが目安です。
1台あたりの車幅（約1.7〜1.9m）に加えて、ドアの開閉や人が通るための通路幅を確保する必要があります。特にミニバンやSUVなどの大型車を停める場合には、幅6.0m以上を確保すると乗り降りや荷物の積み下ろしがスムーズになり、日常の使い勝手が向上します。
縦列駐車の場合
縦列駐車をする場合の目安は、幅2.5〜3.0m × 奥行10.0〜11.0m程度です。
敷地が限られる都市部でも対応しやすいレイアウトで、省スペース性に優れています。ただし、奥に停めた車を出す際には手前の車を移動する必要があるため、どの車を日常的によく使うかを考慮して配置を決めることが大切です。
余白スペースの確保が快適さのカギ！
ガレージを快適に使うためには、車の駐車スペースだけでなく余白を設ける考え方が重要です。玄関やリビングに直結する場合は、車の駐車スペースに加えて、人がスムーズに通れるよう、ガレージ全体の横幅として1.75m以上の余裕を持たせるとよいでしょう。
また、自転車やバイク、アウトドア用品を収納する場合は、左右に50cm〜1m程度のスペースを追加すると使い勝手が向上します。収納棚や作業台を設置する場合も、車のドア開閉に干渉しない程度に余裕を持たせましょう。
安心のガレージハウスを建てるならトヨタホームへ
トヨタホームの住まいには、世界のトヨタグループが培った総合力が活かされています。車を身近に感じられるガレージハウスを建てたいなら、トヨタホームにまずは相談をしてみましょう。
トヨタホームが採用する鉄骨ユニットラーメン構造は、中心の柱や耐震壁が不要で、充分な強度を確保できる造りです。ガレージのために大開口部をとったとしても、抜群の耐震性で家族を守ってくれます。
利便性が高く車にも優しいガレージ、耐震性とデザイン性の高い安心できる住宅にご興味のある方は、まずカタログをご請求ください。またお近くの展示場でも、ガレージハウスのさまざまなメリットや間取りが実感できるはずです。ぜひお気軽に展示場へお越しください。
トヨタホームのビルトイン/インナーガレージの建築実例はこちら
【全国のトヨタホーム展示場を探す】
https://www.toyotahome.co.jp/s/tenjijo/?ad_cd=hometag
【カタログ請求はこちら】
https://www.toyotahome.co.jp/s/catalog/?ad_cd=hometag
ガレージハウスの間取りに関するよくある質問
ガレージハウスはなぜ人気があるのですか？
ガレージハウスが人気を集める理由は、車を愛する人々にとっての魅力が多数あるからです。
まず、ガレージハウスは車を室内に収納できるため、愛車を天候や外部からのダメージから守ることができます。
また、ガレージスペースを趣味のスペースとして活用できる点も魅力の一つです。
車いじりやDIY、趣味のコレクション展示など、多目的に使えるスペースとしての価値が高いです。
さらに、ガレージを住居と一体化させることで、生活空間を広げ、開放感あるデザインを実現できる点も人気の理由です。
デザイン性と実用性を兼ね備えたガレージハウスは、車好きだけでなく、スタイリッシュな住まいを求める人々にも注目されています。
車2台分のガレージを作るには何坪必要ですか？
車2台分のガレージを作る場合、最低でも10坪程度のスペースが必要です。
ただし、車の大きさやガレージ内での作業スペース、収納スペースの有無によって必要な面積は変わります。
車種が大きい場合や、ガレージ内で趣味のスペースを確保したい場合は、それ以上の広さが求められることがあります。
また、ガレージの設計に際しては、車の出入りをスムーズに行うためのスペースも考慮する必要があります。
車2台分のインナーガレージを作るなら最低でも約10坪が必要について詳しくはこちら
ガレージハウスの欠点は何ですか？
1. コストが高い
ガレージハウスは、一般的な住宅に比べて建築コストが高くなることがあります。ガレージスペースを設けるための追加費用や、工法によっては車を室内に収納するための強化された構造が必要になるためです。
2. 限られた土地利用
ガレージスペースを確保するためには、それなりの土地が必要になります。都市部など土地が限られている場所では、ガレージハウスを建てることが難しい場合があります。
3. 維持管理の手間
車を室内に収納するため、ガレージ部分の清掃やメンテナンスが通常の住宅に比べて手間がかかることがあります。また、車からの油やガソリンの臭いが住居部分に影響を与えることもあります。
これらの欠点を考慮しつつも、ガレージハウスは車を愛する人にとっては魅力的な選択肢であり、上手に設計すれば欠点を最小限に抑えることが可能です。
ガレージハウスはコストが高くなる傾向にある？
ガレージハウスを建てる際、一般的な住宅に比べてコストが高くなる傾向があります。
その理由は、ガレージスペースを設計・施工するための追加コストがかかるためです。
ガレージハウスでは、車を守るための耐久性や安全性を考慮した構造が必要とされ、これがコストアップにつながります。
また、ガレージを住宅と一体化させるデザインや、ガレージスペースを活用した多目的な利用を考える場合、その分だけ設計や材料にこだわる必要があり、結果的に建築費用が高くなることが一般的です。
しかし、ガレージハウスの魅力や機能性を考慮すれば、その価値は十分にあると言えるでしょう。
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